2010年 初代シレンTA大会での不正と7年越しの解明 その1 〜概要〜
本記事は「」に投稿したものです。
〜はじめに〜
本記事では2010年に起きたシレンタイムアタック競技での不正と、7年越しの解明についてご紹介します。
記事うp主はプロナ王国民Cと申します。ニコ生の初代シレン競技、RTA、研究等の界隈にて、時にnasutenという名義でも活動しています。
さてRTA競技での不正といえば、2012年にマリオワールドRTAで他人の動画を丸ごとニコ生で上映する驚きの即バレ手法を見せたザ・エンドってねのリュシアが中でも有名で、2018年のアニメ:ポプテピピックのネタにまでなりました。
しかしそれよりも以前に、当時「RTA不正の代名詞」扱いをされるに至った人物がいます。彼はTAS動画を自作することで数ヶ月に渡ってゲームの催しで不正を繰り返すも、2010年のマリオ64界隈から不正告発を受けるに至りました。
その大手生主が行なっていた不正の中にはシレンでの競技も含まれていたのですが、シレン側の不正解明には7年ほどを要した、というのが本記事の本題となります。
〜2010年 初代シレン大会での不正概要〜
2010年2月にニコ生にて、第六回SFC風来のシレンTA大会という、参加者117名にも及ぶ大規模なタイムアタックイベントが開催されました。wiki
その大会の掛軸裏の洞窟タイムアタック部門にて予選・本戦共に優勝したのは、コミュ人数が数千人に及ぶ当時の大手ニコ生主、コインさんでした。
・予選 :4分8秒(ニコ生配信)
・決勝待機期間:3分17秒(ニコ動投稿)
・決勝 :5分8秒(ニコ生配信)
マリオ64走者として有名だった彼が、シレン競技への参入から間も無くして叩き出した好記録は大会関係者・視聴者より、大いに讃えられました。
しかし2010年9月にマリオ64での不正が告発され、その後は不正RTA行為の代名詞に当時使われるまでになりました。(コイン防止=不正防止等)
RTA競技のイベントにて「不正防止の為に〜をやってもらいます」等の説明が出た時、
「今コインさん関係ある?」(=略してICK)
「今コインさん関係ないだろ!」
と茶化して引き合いに出されたりすることも、不正告発後の当時は良くありました。
コインさんはマリオ64での2010年9月不正告発を受けた当時、
・シレンの動画でうpした記録は不正だった
・シレン大会自体では不正は無かった
と説明していました。
しかし
「大会でだけ不正してないって、本当〜?」
という納得のいかなさをシレン界隈に残したまま、数年が過ぎて行きました。
事態が動いたのは、当時の大会運営さん等が残してくれた大会ミラー配信の、記録動画を解析したことによるものでした。
その解析結果を携えてコインさん本人にうp主が質問し、不正は有ったとの返答を得たのが2017年1月となり、丸7年弱での解明でした。
マリオ側とシレン側で共通した彼の不正手法は、
・エミュレータで人力TASを作っておく
・生放送にてエミュレータを映し、作り置きの人力TASを再生してアテレコする
というものでした。
今回記事にまとめを行なう趣旨として、
・シレン競技界隈の中での備忘録
・シレン競技に不正を介入させないためには、不正の手法のみならず不正に至る行動・心理をも知る必要がある
・不正RTA史
・2018年のアニメ「ポプテピピック」放送時、アマゾンプライムで先行視聴したコインさんにうp主がツイッターでネタバレを喰らい、まとめを決意していた
となります。
なおコインさんは今もツイッター等にてネット活動をしていますが、本人への誹謗中傷はおやめください。
本当に。
うp主が困ります。
RTA不正の抑止には、炎上や攻撃よりも、ネタにし尽くして飾ってあげた方が効果的と思われます。
ちなみに
・RTA
等の用語が記事内で混在しています。
2010年当時はニコ生で1枠30分の時間制限があり、枠の切り替え時(枠またぎ)の時は一旦タイマーを止める必要が有りました。
実時間でタイムを計測しているけど、時々計測とプレイに中断をはさむ必要有りだったので、そうした場合にはRTAという名称を使わないようにしています。
枠またぎはプレイヤーには不都合でしたが、この仕様が不正発覚を助けるきっかけになることもありました。
では概要記事から長くなりましたが、当時ニコ生シレンの配信はしておらずリスナーだったうp主の目線で、一連の流れを振り返っていきます。
次記事
2010年 初代シレンTA大会での不正と7年越しの解明 〜2010年の出来事〜 - prona_kingdom_people’s diary
2010年 初代シレンTA大会での不正と7年越しの解明 その2 〜2010年の出来事〜
事の時系列を、大会前後でねっとりと振り返っていきます。
【第六回大会 前段】
2009年8月に参加者11名から開催の始まったニコ生のシレンTA大会。
10月の第三回大会で50名。
2月の第五回大会では125名と、参加人数が膨れ上がっていきました。
ニコ生の拡大、シレン競技への人の集まりに伴って、シレン愛好者同士の交流・競技の場として大会は盛り上がりを見せていました。
その第五回大会へシレン大会初参加をしたのが、マリオ64配信者として有名だったコインさんでした。大会記録はテーブルマウンテン22分8秒で上位12位に入っていました。これが不正による記録かどうかは、不明です。
さて、次に開催された第六回シレン大会は
予選:期間5日、4ダンジョン(TM・掛軸・食神・最終)のタイムアタック記録を争う
予選参加者 総勢117名
本戦:期間2日、予選の上位8名ずつを選出して総勢32名が出場
予選突破ダンジョンを各選手が担当し、4人で1チームを組み、8チームが順位に基づくポイントを競い合う
合計競技時間7日、当時過去最大規模の大会となりました。
第六回大会予選の申請期間にて、コインさんは
まずTMで参加申請 → 同日に掛け軸も加えて申請。
【第六回大会 予選】
そして5日間の大会予選が始まり、沢山の参加者達が果敢に走り始めました。
30分のニコ生放送枠を、最大123枠まで取った選手まで居ました。一日平均12時間程度も挑戦したことになります。走者も運営も実に一生懸命でした。
そんな熱い戦いの中、掛軸裏部門でmskットさんという選手が3分56秒を出し、ぶっちぎりでトップに躍り出ました。しかし先に結果を語ると、大会運営と協議した末でmskットさんは予選・本戦辞退となっています。
そのプレイ内容はシレン走者の口伝として、以下のようなものだったと云います。
・記録の出た枠だけマイクオフ
・記録の出た枠だけダッシュを全くしない
・どろぼうハウスを引いて目の前にガマゴンが居ても足元のギタンを投げない
(経験値大量獲得のチャンスを活かさない)
さすがに不自然すぎて運営の審議対象となり、疑われるなら辞退します、ということになったようです。
ダッシュをしない点から考察すると、
・エミュレータでクイックロードして乱数を固定
・状況再現で既知の冒険を辿ってクリアした
という手法かな?と推定します。もっとも確たる根拠はありません。ダレカドウガモッテナイカナ…
しかしこの4分切りの大記録を知って目安にしたのがコインさん。
「1位は4分切ってるってなんぞ・・・」
「運試しの4分台目指します」
果たして、コインさんは4分8秒の記録を宣言通り出しました。
当時のニコ生のタイムシフト機能は不安定で、画面が真っ暗になったり、後から見られるようになったりといった症状が頻発していました。
残念ながらこの4:08の枠を見返しても真っ暗となり、大会では走者を信頼して、予選1位の記録と認められることになりました。
ここから少し時系列を前後して振り返ります。
2月15日24時00分:予選終了
2月16日 0時51分:mskットさんの記録不認定の告知枠
2月16日23時01分:予選結果発表
2月16日17時09分:コインさんが動画をうp
予選終了〜予選結果発表の間というタイミングでした。
動画のサムネが、グーグルのキャッシュに残っていました。
動画のプレイ内容はわかりませんが、コメントには当時から不自然さを指摘する内容がありました。
推測に過ぎませんが、mskットさんの記録不認定を知らずにうpしたと思われます。
この掛軸3:17は半年後8月のマリオ64告発時に、不正だと本人が認めることになります。
予選〜予選後の記録の時系列を現時点から俯瞰してみます。
3:56(たぶん不正)の二番手を狙って、4:08(たぶん不正)の記録を作る
→3:56が記録不認定になる
→動画にて3:17(不正)の記録を出す
不正 vs 不正で争っていたのかなあ…
【第六回大会 本戦】
そして本戦。
コインさんは16Fの掛軸裏クリアにて5:08の記録を出し、掛軸部門優勝となりました。
このプレイ内容は動画に残されています。
・タイマーの開始が遅い
・プレイ操作が遅い
等の目に付く点はありますが、明白な不正の証拠はここだけ見ると、有りません。
コインさんは他にも6:36でクリア等、早い記録を本戦で残しています。
一方、本戦の開始3時間程度時点のプレイでは
・5分かかって4Fに到達
→20分かかって13F、放送枠の切り替え時で続行断念
といった、記録時とは異質なプレイも残しています。
プレイ当時の本人曰く、眠いからとのことでした。
【第六回大会 結果発表】
コインさんを擁するGチームは、コインさんの部門1位結果を得て8チーム中4位となりました。
大会後のインタビューでは「チームの足を引っ張らないように記録を出すのに精一杯でしたね」と謙虚に答える一方
「どく草投げようとして10回くらい自分で飲みました」等の、プレイ時間と確率的にあり得ない、とても盛り過ぎた迷言を残しつつも、競技の成果を讃えられて第六回大会は終わりました。
そして半年余りが経過した後。
2010年9月26日 第1回マリオマザーシップタイトルRTAリレーというイベントの直後、
コインさんの不正が告発されました。
告発配信の動画(説明の口調が荒めなのでご注意)
告発の内容は
1.コインさんがProject64を使うと発言していたが、TAS利用可能なmupen64を使っていたのがイベントの配信で映り込んだ(言行の不一致)
2.過去のニコ生において、枠の切り替え時で
2-1..同じ効果音が2回も鳴った
2-2.枠またぎの後でゲームが停止していた
→録画したプレイの上映をしていた証拠
3.普段RTA配信をしないけど本番でいきなり好記録を出す
4.世界記録は出さない(注目、分析を避ける)
5.動きに無駄ばっかりだけど、タイムは良い
(QS/QLによる人力TASでよく有る現象とのこと)
6.ニコ生の枠をまたぐ時、エミュの機能を使って一時停止している
7.○位を目指しません〜、○機以上は無理〜等の宣言をして、大会イベントを走る
(不確定であろう結果の見通しが出来過ぎている)
等で状況証拠が多く有りますが、2.の上映証拠をあらかじめ告発者さん達が用意していた上で注目し、1.のエミュレータ種類のごまかしを受けて、告発に踏み切られる運びとなったようです。
告発を受けて、コインさんは配信で謝罪し、コミュニティを削除しました。
あの、動画、は、不正である、のは認めます。
でも大会の記録は、本当に自分です。
掛軸裏は、大会は不正じゃないです。
それは…結果だけを求めた結果です。」
と語り、シレンの動画(掛軸裏)だけが不正であると説明しました。
余りにも、歯切れが悪く!
当時未成年だった彼のたどたどしい言い訳から進展することなく、シレン界隈では
『「シレン大会でだけは不正していなかった。」という設定。』
を覆せないまま、数年の時を過ごすこととなります。
しかしマリオ64界隈での告発で明らかにされたコインさんの不正の手法が、後の解明のために大いに参考となったのでした。
ウ〜↓ウ〜↑ ウ〜↓ウ〜↑
Next Coin's HINT!
「リセット」
ムービー再生してたらどんな風にリセット操作するのかな?
実機だったら ぁ、ポチッとなぁ〜
次回は12/14(水)配信予定!
12/13追記
・資料を解析していたら冒険回数で新発見が見られた
・まとめ時間の確保が難しい
上記理由により、12/25(日)の更新と致します。申し訳ありません。